発達に関する資料

■IQについて
IQの平均値=100

85-115の間→約68%の人が収まる
70-130の間→約95%の人が収まる

70以下→相当苦しい
130以上→出来すぎても違う意味で苦しい

130-(2.2%)非常に優れている
120-129(6.7%)優れている
110-119(16.1%)平均の上
90-109(50%)平均
80-89(16.1%)平均の下
70-79(6.7%)境界線
-69(2.2%)精神遅滞

80-100がグレーゾーンと呼ばれる

50-70軽度知的障害
30-50中度知的障害
15-30重度知的障害

※IQは年齢に応じて変化することはほぼない。(苦手なことが得意になることは極めて少ない)
※遺伝を立証できるデータはまだ出ていない。
※環境要因で防げることは多々ある。

■WISC-4の指標
◎言語理解(VCI)=言語的な情報や自分自身が持つ言語的な知識を状況に合わせて応用できる力。

◎知覚推理(PRI)=視覚的な情報を取り込み、各部分を相互に関連付け、全体として意味のあるものへまとめあげる能力

◎ワーキングメモリー(WMI=注意記憶)=注意を持続させて聴覚的な情報を正確に取り込み記憶する能力
→WMIが低いと通常の授業学級では厳しい。(口頭の指示が入らないので)

◎処理速度(PSI)=視覚的な情報を事務的に数多く正確に処理していく能力
→PSIが低いと板書の書き写しが出来ない(黒板を見てノートに目を移した瞬間に記憶を失ってしまう場合、視覚的情報を手先に伝えられない場合)

※(例)視覚認知が弱い人の場合
頑張っても見えないものは見えない。だからどう補助線を引くか。努力の問題ではない。苦手なものをどう噛み砕いてアプローチするか。

※心理検査(発達検査、知能検査)は生徒個々の方向性が見えてくるので、数値を取っておいて損なことはない。空間認識と予測が厳しければ、免許も厳しいし、誤った進路を防ぐことが出来る。どこまで頑張れそうなのか、数値を取ることによって、その子を救うことができるかもしれない。

■3種類の障害者手帳

◎身体障害者手帳
→先天的なものは元より、後天的な疾病や事故等により、本来人間が持っている機能が損なわれ、日常生活に支障が生じている人が交付対象

◎療育手帳
→生後から18歳未満の間に、知的障害(知能指数が概ね75~70以下)が現れ、日常生活に支障が生じている人が交付対象。「知的障害」を伴う「発達障害」がある子供はここに当てはまる。

◎精神障害者保健福祉手帳
精神障害のため、長期にわたり日常生活または社会生活への制約があり、精神障害により障がい者年金を受けている人、または精神障害のため6ヶ月以上の通院をしている人が交付対象。

※手帳は保険のようなもの
特別支援学校→療育手帳または精神保健手帳を使って特例子会社に就職する(給与は月10万程度)
手帳があれば就労支援事業所で2年間SSTを仕込むことが出来る。就労支援事業所は国から補助金が出ており、2年で就職させるために徹底的に支援してくれる

■療育手帳を所持していない発達障害児の特別支援学校の受験

◎手帳を持っていない場合、医師の診断書があれば入試を受ける権利は与えられるが、あくまでも知的障害者の為の学校であり、IQが80以上ある場合は条件にそぐわないため、預かれない。つまり、入試を受けても不合格になる。(A特別支援学校S分校)

◎特別支援学校のカリキュラムは単純作業を何度も繰り返すことによって体に覚えこませていくものが多く、集中の続かない子にとっては酷な授業となる。入学に関しては療育手帳がなくても医師の診断書があれば問題ないが、企業が求めるのは知的障害の子と知的に遅れの無い発達障害の子、どちらかというと知的に遅れのある方。スタートラインでは下にいても、コツコツと繰り返しを嫌がらずに経験を積んで実力をつけていけるのは知的にハンディのある子であり、逆に繰り返しを嫌がり、失敗を嫌う子は企業は求めていない。(I高等学園)

■特別支援学校からの進学
特別支援学校卒はあくまで「特別支援学校卒」であり、「高卒」にはならない。「高卒に準じた卒業資格」という解釈は可能。ゆえに大学受験資格・専門学校入校資格はその大学・専門学校それぞれの判断に分かれる。

■特例子会社への就職
月給は8-10万程度となり、時給換算で200-300円。

■学校情報

★A特別支援学校S分校(高等部職業コースのみ設置)
○1年次に複数の職業コースを全て経験して、2年次に本格的にコースを決める。
○ST高校の敷地内にあり、文化祭・体育祭を高校と合同で行うため、交流を避けたい生徒は意外と多い。

★S学園(S県K市)
○先の事を考えて行動する力や、相手の立場に立って物事を考える力は、社会に出たときに必要不可欠な力。また、IQの検査で学力が高く出ても、各指標の数値の差が大きく出るのが発達障害であり、差が開けば開くほど社会に適応しにくくなり、生きづらさをかかえることになる。反面、知的障害児は全体的に数値が低めに出るが数値の差があまり開いていないため、基本的なことをしっかり習得すれば社会での適応もしやすい。
○発達障害児の場合、特別支援学校に行けば「低い部分」は見てもらえるが「高い部分」には対応してもらえない。S学園では、高いところを伸ばしつつ、低い部分との差を縮めていくような指導をする。

★K高等学院(C県M市)
○在籍数100名強で、発達障害または疑いありが8割程度。入学すると全員がWISCを受け、その結果をもとに得意な面と不得意な面を明確にして職員全員でカンファレンスを行う。
○授業内容は、高校卒業資格を取るために必要な必修科目(国・数・英、SST)とスキルを磨くための選択科目(55科目)を、本人のやりたいもの、保護者がやらせたいものを、先生と一緒に選んで組み合わせ、1年ごとに変更が可能(年度途中の変更は応相談)。2年次には、進路に向けてより本人の適性にあった選択科目が組み込まれる。
○卒業率は100%で、大学・専門学校・就業それぞれに繋がりを持っているため、行き場のない生徒は出していない。
○知的に遅れはないが、社会性が欠落している発達障害の子ども達でも、スキルをしっかり身につけることで一般就労が可能。就労に最も大切なのは、検定何級とかテストで何点取れたかではなく、スキルとコミュニケーション。
○特別支援学校と異なる点は、高校の卒業資格が取れること、SSTが週2時間必修になっている事、3年間で色々な事にチャレンジ・経験できること。
○着席して一定時間落ち着いて授業・試験を受けられるかどうかが入学の基準。